Appleが中国のサプライヤーに対し、iPhone 5cの生産削減を要請したというニュースは、2週間で2度目となります。中国のウェブサイトC Technologyによる最初の報道は、事実というよりは噂に近いものでしたが、本日WSJが同じ情報を繰り返し報じたことで、この主張の信憑性は確実に高まりました。
これは、Appleの否定論者、落胆論者、そしてAAPL弱気派にとって理想的なニュースだ。AppleがiPhone 5cの注文を減らしているということは、明らかにデバイスの売れ行きが期待ほど良くないことを意味する。しかし、本当にそうだろうか？
まず最初に、私は生産、製造、サプライチェーンの専門家ではないことをお伝えしておきます。しかしながら、長年Appleを注視してきたため、同社の仕組みについてある程度理解しているつもりです。とはいえ、AppleがiPhone 5cの生産を削減する理由について、いくつか可能性を指摘したいと思います。
iPhone 5の製造の専門知識
iPhone 5cを「プラスチックケースをつけたiPhone 5」と同列に捉えるのは好きではありませんが、結局のところ、ほぼそれに近いと言えるでしょう。そして、iPhone 5cの良い点は、Appleが前モデルであるiPhone 5を1年以上前から製造している点です。
筐体の変更にもかかわらず、Appleはこれらのデバイスの製造方法を完璧にしただけでなく、おそらくより高速に、そしておそらくより低コストで製造していると主張する人もいるかもしれません。iPhone 5の製造で得た経験は、iPhone 5cの製造において大きな強みとなりました。
Appleが6月にiPhone 5cを世界に発表した頃には、iPhone 5の生産はすでに停止されていたことは容易に想像できます。段階的に生産を中止するiPhone 5の代わりに、Appleはプラスチックを全面に押し出したiPhone 5cの製造に既に奔走していたのです。おそらくそれ以降、Appleは在庫を積み上げ、需要に応えられるよう準備を進めていたのでしょう。iPhone 5cは発売当初から広く入手できたのに対し、iPhone 5sはほとんど入手困難だったのも、このためでしょう。
需要を満たすだけの供給量がある以上、iPhone 5cの生産削減は、Appleが十分な在庫を抱え、需要に応えられない心配がなくなったためだとしても驚きではない。当初の需要のピークは過ぎ、Appleは需要を満たしつつ生産を少し減速できるようになった。
他のデバイスのためのスペースを確保する
iPhone 5cの組み立てをAppleと共同で行うペガトロンとフォックスコンも、リソースが限られています。どれだけ多くのロボットと人間を揃えていても、ペガトロンとフォックスコンが一定期間内に組み立てられるデバイスの数は限られています。
Appleはこれを理解しており、新型iPadの発売前夜には、新製品に加え、依然として非常に高いiPhone 5sの需要に対応するために、組立ラインにスペースを確保する必要があるとWSJは指摘しています。もちろん、iPhone 5cのスイッチを切ってiPad miniのスイッチを入れるほど単純な話ではありませんが、要点は理解していただけるでしょう。Appleが新型iPadとiPhone 5sを増産したいのであれば、基本的に組立ラインをiPhone 5cからiPadまたはiPhone 5sに移す必要があり、これがiPhone 5cの生産削減の理由かもしれません。
AppleはiPhone 5cの生産工程を完璧に仕上げているため、同社が発注を削減する理由は容易に想像できます。iPhone 5cの需要を満たすのに十分な台数があるだけでなく、今後発売されるiPadや、需要の高いiPhone 5sのために生産ラインに余裕を持たせる必要もあるからです。だからこそ、AppleはiPhone 5cの生産を削減しているのでしょう。もちろん、「Appleは破滅する」という見出しとは相容れないかもしれませんが、現実をより的確に表していると言えるでしょう。
